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栄養学と食の安全は別物

公開日: : 最終更新日:2016/09/21 栄養学, 食のコラム ,

最近、「食の安全性について教えて欲しい」といわれることが増えました。

成長と食と安全性

子供と食


私の考える食の安全性については、これを食べたほうがいいとかこれは食べないほうがいいという単純な話ではないため殆ど自分から発信するようなことはしていません。一般受けしないので・・。

例を挙げますが、
鉄分不足になりやすい女性や乳児に対して、安易に「毎日レバーを食べればいいよ」とは言えないけれど、全く食べないよりは食べた方がいい場合が多い、というのが私の安全性に対する見解です。現実に一番有名な「貧血に良い食品」はレバーですね。

栄養学に基づいて言えば、貧血や鉄分不足にいいのは吸収率の高い「ヘム鉄」を摂ること。ヘム鉄というのは、動物性の鉄分です。レバーにたくさん含まれている鉄分もヘム鉄で、タンパク質と同時に摂れるので効率的な食品です。
植物から採れる鉄分は吸収率がとにかく悪く、一緒に飲むお茶なんかで簡単に吸収を阻害されてしまうし、貧血持ちの人の中には鉄分の吸収が苦手な体質の方もいるので、小松菜をたくさん食べているけど貧血が改善しない・・というケースも実際にあることなんじゃないでしょうか。

私も遺伝からくる貧血体質で、レバーも好きなので時々食べます。
ただ、レバーは動物の肝臓なので、持ち主が餌と一緒に抗生物質を取っていることもあります。抗生物質は肝臓に残っていることが多く、毎日食べると抗生物質も一緒に摂取し続けてしまう恐れがあります。

週に1回くらいなら負担にならないと言われていますが、やはり毎日は食べない方がいい食品の一つだという人は多いです。少しも抗生物質なんて摂りたくない、という理屈で安全性を考えると、マグロやフカヒレなんかは水銀量が多いので同じ理屈で避けた方が良い食品になるかもしれません。※妊娠中はなるべく避けてください
抗生物質に絞っていうと、養殖の魚も食べない方が良いという話になるかもしれませんが、天然の魚は海洋汚染や餌を把握できないため養殖の方が安全な管理ができて天然の方がかえって危ないと言っている研究者もいます。

この世に絶対的な食品というのは有りません。
この食品を食べないようにしたら体調が良くなりました!とか書いている自称評論家には、毎日の食事の詳細な記録と、健康診断や人間ドック、脳ドックの経過データを逐一提出して証明して欲しいと思っています。

体のためにはあらゆる食品を食べることが大切で、「今まで日本人はそういう食生活をしてこなかったんだから肉は良くない」とか「牛乳なんて牛の飲み物だから飲むべきではない」という意見や主張には正しい面もあるんですが、肉や牛乳を絶つと、その分の栄養を他から取るのは難しくなります。
なぜ肉や牛乳が食卓に乗るのかの事実から目を背け、何が一番安全かを一つの側面から判断するのは危険です。「食べなければ安全」だと言い切ってしまうのは短絡的で無責任な主張です。

現実問題、特に働き世代と高齢者にタンパク質不足が深刻で、隠れ栄養失調の現代人が「うつ」を発症させているケースや「疲れやすい」と感じるケースがどんどん明らかになってきました。
うつを防ぐのに牛乳は有効で簡単な問題解決の手段になりますし、タンパク質不足からくる疲れに肉は最適な栄養素になります。これは栄養学からの観点です。日本人の毎日の食事を調べたところ圧倒的にタンパク質不足だということが分かり、忙しい現代人にも簡単にタンパク質、カルシウムを摂取できる牛乳は手頃で良い、と牛乳の普及キャンペーンが度々行われるようになりました。
ただ一方で、牛乳でお腹を下す体質で生まれる日本人も多く、体質的には合わない部分も認められています。そして、世界的にも腸の長さが長い日本人は肉の消化には向いていない人種で、穀物が一番体に合っているというのも事実です。
ただ、向いていなくても、全く肉を食べない方が健康になるという結論には結びつきません。安全性と栄養学の両面で見て良い食事というのが全く考慮されていないケースが多いんじゃないでしょうか・・。

これさえ食べていれば大丈夫だ、とか、あの食品は絶対食べるな、という感覚で食品と向き合うと、何が自分にとって大切かを見失って健康から離れていく可能性が出てきます。
栄養学は絶対ではないので栄養素だけ見ればいいと安易に考えるのも危険ですが、食の安全という言葉を振りかざして栄養面に全く目を向けないのも無責任です。

TPPでますます食品を選ぶ目がどんどん必要になっていて、このテーマは色々な食品で議論がされるべきですが、どうしても「そんな食品は食べない方が良い、安全性一番、ナチュラルとオーガニックが一番」主張の人は思考停止状態で聞く耳を持たないことが多く、正しい知識の普及というのはハードルが高い課題だなと思っています。

事実、「危険!食べてはいけない食品!」のような過激な表現は危機感を煽るため注目を集めて売れるので、そういう商法は広まりやすいんですよね。医師という立場の中でも、そういう主張で荒稼ぎ(おっと失礼)している人がいるので信じる人がいてもおかしくないとは思います。

私は、食は楽しむことが一番(免疫力が上がるし感性も磨かれる!)と伝えていますが、不安を煽る商法がどうも好きになれません。避けた方がいい食品や添加物なんかは知っていて損はないかもしれませんが、神経質にならない範囲でやらないと・・。毎日の食に神経質になっていると、3度の食事×365日がストレスの元になってしまいます。
一番危険なのはストレスのある食卓。ストレスこそ万病の元ですから。

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