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懐石料理の構成とマナー

公開日: : 料理について , ,

懐石料理って何となく分かるけど、結局どういうもので何が正解なの?という基本知識について簡単に説明します。

ご飯の位(くらい)が高いのが懐石料理です、というのを前回書きましたが、
最初に1人ずつにご飯と汁物の椀が出て来ます。飯椀が左、汁碗が右、というのが絶対です。反対にしちゃダメです。
蓋の外し方・置き方は、飯椀の蓋の方が大きいので飯椀の蓋を下に汁碗の蓋をかぶせる様にして、お盆の左側にあたかももう一つ椀が出来た様な外見を作って置きます。

懐石料理 椀と向付

懐石料理 椀と向付

※通常、懐石では箸置きは用いません
そして、写真の奥に見えるお皿、お椀の向こうにあるので、「向付(むこうづけ)」と言います。「お向こう」とも言います。そして、一番はじめは右の汁とご飯、をいただき、向付は右側の椀、汁碗を空けるまで手をつけないのが基本です。

向付

向付

向付には、季節の魚のお造りが提供されます。手前の椀が飾り気のないのに対して、向付の器には季節感や会のコンセプトが表現されます。
これは先生の選んだ黒織部(くろおりべ)の器。高級品です。先生曰く、この季節から織部の器が使えるようになるのと、お茶の「炉開き」の季節を表しているとのこと。私は今回、織部の器は季節によって使える・使わない、があることを初めて聞きました。もしかすると近茶流ならではかもしれません。

日本料理は器を持ち上げて良い文化なので、こういったお造り用の器には足がついていて持ち上げやすい様になっていることも多いです。
そして、高級な器を傷つけない様に、懐石料理やお茶をいただく時は貴金属類や宝飾類は全て外す・もしくは付けないことが礼儀です。腕時計もネックレスもダメです。

この日は、鯛の錦和えを作りました。鯛をさばくのは結構な労働力です・・。
IMG_4989

汁碗は冬瓜と紅葉麩の赤ざし。赤ざしというのは、11月と3月の懐石に用いる味噌汁で、白みそに赤みそを少し加えた「紅をさす」味噌のこと。
白味噌:赤みそ=4:1で作って下さい。
紅葉の上に、和からしを水で溶いた「水辛子」を乗せているので、甘い味噌汁にピリっとした辛味が入ります。

ご飯は三角に盛りつけます。手前を低く、奥を高く、が日本料理の盛付けの基本。

椀の蓋を取り皿として使うのが茶懐石です。おかずが回って来るので、先程脇に置いた椀の蓋を空けて小皿代わりにします。

焼物

焼物


この日の焼き物「秋鮭の幽庵焼」。
「お先に」と隣の人に声を掛けて椀物の蓋に取り、隣の人に・・と回します。手前は万願寺。

預鉢

預鉢

焼き物までが基本の「一汁三菜」ですが、預鉢(あずけばち)は大きめの鉢に盛られる料理で基本から更に品数を増やして提供されるものです。
これは鴨と海老芋。菊菜を添えています。鴨も海老芋も難しい素材ですが日本料理のハレの日に使えますのでおもてなし料理向き。鴨は夫婦円満、海老芋は子孫繁栄の意味から縁起物になります。

松茸のお吸い物

松茸のお吸い物


そして、椀物として秋の月見椀です。松茸のお吸い物です。
秋の月を黄身を混ぜた白玉団子で表現していますが、中には鶏団子を入れています。
お吸い物の基本は「最初の一口を飲んで塩が薄いと感じる」塩味で作ること。
味見で物足りないと思ったら正解、です。

八寸

八寸

更に提供される八寸、とはこの器の大きさを指しますが、約25cmの器に「海のもの」と「山のもの」を盛りつける酒の肴です。手前が海、奥が山、といったように変化をつけますが、対角線状に盛りつけるのが一般的です。里芋とししゃもです。

香の物

香の物


懐石では香の物が出る時に、お焦げをお湯で溶いた「湯」が出ることもありますが、この日は特にそういったことはせず。

最後、甘味と抹茶で一通りのコースが終了です。

あと、懐石料理をいただくマナーは「器には何も残さない」というのが基本。

例えば、本来のマナーでいくと、里芋の皮などは懐紙に包んで持ち帰ります。懐石料理をいただく際には懐紙は必ず持って行くのが礼儀です。その他、食べられないものも器に残してはいけないので懐紙に包んでこっそり持ち帰らなければいけません。

逆に言うと、もてなす側の亭主は常に「器に残らない」下処理や準備を怠らないことが重要です。種や骨、食べられない頭や尻尾などは全て処理して提供します。先程の八寸の里芋は見た目重視で皮を残していますが、いただく側は皮を持ち帰らなければいけません。

日本の懐石は礼儀やしきたりを守ることが、おもてなしや思いやりとされます。知らないと守れないのに、ちゃんと教えてくれる場はなかなかないです。なので、いつかこの辺のことは文字に起こしたいなあと思っていました。今回ところどころに礼儀や知識を盛り込んでみましたが・・長くなりましたね。

日本のこういった文化は、マナーを守れない人を指摘するのが一番のマナー違反なので、心の中で「ああ、あの人、知らないんだな」と思われて終わるような難しい世界だったり。
覚えておくと物怖じせずに堂々と出来るので、どこかでいただく際は覚えておいていただければ幸いです。

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